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| TEXT : Cheryl White / PHOTO : grongar / TRANSLATION : Azusa Tanaka Category : INGREDIENTS |
2010.05.06
日差しが少しずつあたたかくなり、予期せぬ土砂降りの雨がふるこのごろ。ここ日本では、桜の花が咲き始めると、春はすぐそこまで。桜の開花とともに、春の旬野菜も盛んに宣伝されはじめる。心待ちにされていたホワイトアスパラガスは、1年のこの時期が一番、さまざまな所で目にすることができるが(ホワイトアスパラガスについてはこちらの記事をどうぞ)、その一方で“ひっそり目立たない旬の素材”が、レストランのメニューに並びはじめる。
そのひとつが、素晴らしい素材、モレルマッシュルームだ。見つけるのが難しく、旬の季節は短いけれど集中的に成長する。モレルはあらゆるところのフレンチのシェフが好む食材だ。見た目の悪さにもかかわらず、奇妙な形のマッシュルームは力強い香りを放ち、ホワイトミート(チキン、子牛、ポーク)や、シーフード、そのほか春野菜、特に競争相手である春の王者、アスパラガスなどの繊細な素材とよく合う。

モレルは、でこぼこしたサンゴや、脳の表面のシワを連想させる細長いヘルメット状の帽子をかぶっている。中は完全に空洞か、それに近い状態だ。生のままでは食べられないので、解毒するために加熱して中和させるか、乾燥させるか充分調理するかしなければならない。しかし、熟練したシェフにかかれば、このマッシュルームはさまざまな料理に、迫力を与えることができる。アスパラガス添えのほたて貝や、子牛のラビオリのクリームソースのベースとして使えば、“味のバランスは完璧”。モレルが優れているのは、この主役を引き立てる役割であり、個性が強いにもかかわらず、より繊細な素材を壊すことがないと考えるシェフもいる。
プロバンス地方の料理では、モレルはそれ自身にスポットがあたるように工夫されている。典型的な料理法としては、モレルをバターで煮込み、それからさらにマデイラ酒で煮溶かす。そのほかには、素朴なチキン料理などの家族で囲む鍋料理に、モレルがいい香りを加えてくれる。
モレルは、毎日食べるマッシュルームではなく、食べごろはほんの短い期間だけだ。だから春にメニューを飾っているのを見つけたら、ぜひ数々の料理にもたらされる、洗練された風味を楽しんでみて!
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