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| TEXT : Cheryl White / TRANSLATION : Azusa Tanaka Category : GOURMET TRIVIA |
2009.11.16
イタリアの食文化が、世界中にとてもたくさんの美味しい食を広めてくれたおかげで、イタリアを代表するひと皿を選ぶのは、ほとんど不可能に等しい。イタリア料理には、トスカーナ、ナポリタン、ミラネーゼ、ローマン、そのほか20の地区のあらゆる料理がある。ピザとスパゲッティは世界中に伝わった2大料理で、他の食文化の一部となった。しかしそれでもやはり、私にとってはクラシックなイタリアンラザニアが、イタリアンの中のイタリアンだ!

ラザニアは、古代の祖先から伝えられてきた料理である。平らにのばしたパン生地を細長く切ったもの、という意味のギリシア語に由来し、ローマ語では料理用の浅い鍋を表す言葉だった。そしてまもなく、鍋の中のものを指す言葉としても使われるようになった。イタリアのエミリアロマーニャ州北部では、“デュラム”とよばれる強力粉を卵と混ぜて、平たいタイプのパスタが作られ、これにも“ラザニア”という名前がつけられた。料理用の鍋や皿、平らなパスタ生地…これらすべて、今ではラザニアと呼ばれている。
もちろん、イタリアの他の地域でも、その地域ならではのラザニアがつくられてきた。それぞれの地域によるバリエーションが、ラザニアを真のイタリア料理たらしめているのだ。層になっているという形は共通しているものの、その中には各々の地域の特産物がたっぷり詰まっている。エミリアロマーニャ州の“古典的なラザニア”は、ビーフとトマト、それにナツメグの香りを効かせたベシャメルソースから作られた“ボロネーズソースたっぷり”。当然、エミリアロマーニャ独特のチーズ、パルメジャーノ レッジャーノがトッピングされる。パスタにほうれんそうが練り込まれた、ラザニアヴェルディとよばれるグリーンラザニアが使われることもある。
その他の例でいえば、イタリアの北部と深南部があげられるだろう。トスカーナ地方の北部(フローレンス)や、リグリア(ジェノバ)地方では、ベジタリアンラザニアが名物だ。リグリアでは、新鮮な“ペスト”ソースとラザニアパスタが重なっている。軽くて “暑い季節にリフレッシュする食事”と考えられ、家族の夏の食卓の定番だ。

PHOTO : bloggyboulga
ナポリ地方の「リコッタチーズと松の実を使った」ラザニア。クリーミーながらもあっさりした味わい。
南に目を向けると、イタリア半島の“長靴”の先端には、カラブリア地方がある。ここでは、ラザニアパスタは波打った形をしているが、これはソースがしっかり絡まるようにだそうだ。またその地方の、塩が効いたリコッタチーズを使うことで、特有のぴりっとした味覚を楽しむことができる。近くのカンパーニャ州では、有名なナポリのシェフたちは、ラザニアのためにイタリア中から最良の素材を集めてくる。—ビーフミートボール、プロシュート(生ハム)、生サラミ、地方の新鮮なモッツァレラ、リコッタ、パルメジャーノ(パルメザン)チーズ、そしてトマトやその他の野菜など。この心のこもった料理は、“ラザニア・アラ・カーニバル”と呼ばれ、一年でもある時期しか食べることができない。
北部でのラザニアは、“ラザニア・アル・フォルノ”と呼ばれ、オーブンで料理されたりホームメイドだということを意味している。ラザニアは、贅沢さとあたたかさ、両方を兼ね備えた豊かな料理だ。ラザニアには“地域の、そして家族のスタイルがある”。そのうえ南部のカーニバルのラザニアは、1年の特別な祝祭のため、家族を一同に集めてくれる。それらすべて絶品で、だからイタリア料理の中でもベストのひとつなのだ!
※エミリアロマーニャ地方は、ミラノとフローレンスとベニスのちょうど中間に位置する。
※ペストは細かくした新鮮なバジルとオリーブオイルから作られるソース。
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