IN THE KNOW

作家の新しいチャレンジ、斬新な作品を許容する、ポジティブな場でありたい。

2009.07.07

アーティストの新境地に立ち会う、ギャラリストの醍醐味

東京・広尾のギャラリーTOKIO OUT of PLACEでは現在、独自のフォトグラム作品で脚光を集める「坂田峰夫展‐lux‐」を2009年7月18日(土)まで開催中。次回展示にギャラリー初となるグループ展を控え、ディレクターの鈴木一成氏に企画制作の意図や見どころを聞いた。

好評を博している花のフォトグラム。「女性が自宅に飾ってアートを楽しむ、入門的作品としてもお薦めです」(鈴木氏)

PHOTO : Taku Kasuya
好評を博している花のフォトグラム。「女性が自宅に飾ってアートを楽しむ、入門的作品としてもお薦めです」(鈴木氏)

オフタイムも精力的に他ギャラリーを見て回るという鈴木氏。「これからも、既存の枠にとらわれない作家の発掘、企画展の制作に力を入れていきたいですね」

PHOTO : Taku Kasuya
オフタイムも精力的に他ギャラリーを見て回るという鈴木氏。「これからも、既存の枠にとらわれない作家の発掘、企画展の制作に力を入れていきたいですね」

光そのものをモチーフとした、新しいシリーズが生まれた

「坂田峰夫のフォトグラム作品は、非常に繊細で独自の高い技術を用いているものです」とTOKIO OUT of PLACEの鈴木一成氏。現在、同ギャラリーにて個展を開催中の坂田峰夫はこの10年、朝顔やクレマチスなど花をモチーフとしたモノクロームのフォトグラムを制作し、その美意識やテクニックは高い評価を受けている。
「今回の展示は‐lux‐(ラテン語で光)というタイトル通り、花をモチーフにしたフォトグラムに加えて、透明なモチーフを透過し、プリズムのように感光紙に定着させたSpectrumという新しいシリーズを発表しています。作家はこれまで光を表現するものとしての〝花〟をモチーフに作品制作を続けてきましたが、その流れの延長上として〝光そのもの〟をモチーフとした作品を生みだすこととなったのです」

初の映像作品の制作はけっして簡単なものではなかった

Spectrumシリーズは今回の展示で初めて発表された。鈴木氏は「すでに評価の定まった作品だけで展示を構成するばかりではなく、作家の新しいチャレンジに立ち会うことができて光栄に思います」と話す。シリーズには作家初の映像作品も含まれ、今回展示された作品は8分10秒の長さの、5つのイメージが順を追って投影されていく合計40分50秒の映像。「おおよそ8分という時間は、太陽光が地球に到達するまでと同じ長さです。徐々に明るさを増していく映像は、夜が次第に明るくなるイメージを兼ねています。プリントイメージを光のプロジェクションに還元する過程は、通常の映像作品とは異なる概念となり、作品制作には多大な労力と時間を費やしたようです。その甲斐あって、とても印象的な作品に仕上がっていますね」

光をモチーフとした、新しいシリーズ作品。「輪郭が曖昧となりまるでプリズムのように見えます」(鈴木氏)

PHOTO : Taku Kasuya
光をモチーフとした、新しいシリーズ作品。「輪郭が曖昧となりまるでプリズムのように見えます」(鈴木氏)

この夏は、若手女性アーティスト3名によるポップで華やかな企画展を開催

次回展示は、同世代の若手女性アーティスト、隠崎麗奈、源生ハルコ、Tove Kleist の3名による企画展「こ わくないもん-Who’s afraid of ○○○?-」(2009年7月31日~8月29日)を予定。「以前からギャラリーの母体である奈良のOUT of PLACEのディレクターである野村と〝ネオテニー(幼形成熟)の可能性〟について語り合うことが多く、この企画展では、その本能的な部分をすり減らすことなく、希有な成熟を遂げている女性アーティスト3名の作品を一堂に会して紹介します。ドローイングや平面作品のほか、立体、ミクストメディアのユニークな作品を盛り込み、全体からポジティブなメッセージを受け取れる企画展になる予定です。女性の方に楽しんでいただける展示だと思いますので、ぜひ、遊びにいらしてください。」

TOKIO OUT of PLACE
東京都港区南麻布4-14-2 麻布大野ビル3F / Open. 水ー土 12:00 ~19:00 日月火祝休廊  
Tel. 03‐5422‐9699 / http://www.outofplace.jp/