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〝メキシコの転校生〟だった山崎さん。

小学校時代をメキシコの自由学校で過ごした山崎さん。貴重な体験を自身の手でまとめることとなり『ビバ! 私はメキシコの転校生』(偕成社刊※現在は販売しておりません)が1986年に出版された。執筆時は中学生! 早くからその文才を開花させていた。

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FACES

山崎まどかさんに聞く「女子の読書道」

2009.07.30

山崎まどかさんに聞く「女子の読書道」

映画、音楽、小説、ファッションetc。独自の乙女感覚を切り口に、様々なカルチャーを語るコラムニストとして活躍中の山崎まどかさん。最近はさらに翻訳、CDのコンピレーション、講演等と、その活躍の場をますます広げています。今回の取材では、実は中学生のときに処女作となる本を上梓したという驚きの過去から、読書や執筆時のスタイルまで、幅広くお話を伺ってきました。

乙女カルチャーを男性も楽しむには、と聞いてみた。「どんな男性の中にも女性的な要素、感性って必ずあるのでは? だから共有できるカルチャーだと思いますよ」

PHOTO : Tsunehiko Okazaki (dip)
乙女カルチャーを男性も楽しむには、と聞いてみた。「どんな男性の中にも女性的な要素、感性って必ずあるのでは? だから共有できるカルチャーだと思いますよ」

10代で初の著書を出版。その後も書く機会に恵まれましたが、自分の中でズレを感じてきて…

—まず物書きを志すきっかけとなった出来事を教えて頂けますか?
「小学生の頃、父の仕事でメキシコに暮らした時期がありました。まだ帰国子女が珍しかったこともあって、ある出版社から手記を出したいという話があったんです。そのときとある学者の方の提案で、いっそ当人である私に書かせてみようと。中学2年生のときでした」

早いデビューですね! その後、学生時代にはもう執筆活動を始められていますよね?
「『朝日ジャーナル』の編集者が、本のことを覚えていてくれて。若いライターを加えようという話になったとき、大学生になったばかりの私に声をかけてくれたんです。文章の基礎を現場で叩き込まれました(笑)」

初めはライターとしてデビューした山崎さんですが、のちにコラムニストとして、自ら発信する側に回るまでの経緯は?
「初めは何も考えず、ただ受けた仕事を一生懸命にこなすだけだったのが、やはり人から頼まれた原稿を書くというのに、いつの間にかモチベーションが下がってしまって」

膨大な蔵書をお持ちかと思いきや「本は決めたスペースから増えすぎないように、常に入れ替えています。“風通しのいい”生活が好きなんですね」

PHOTO : Tsunehiko Okazaki (dip)
膨大な蔵書をお持ちかと思いきや「本は決めたスペースから増えすぎないように、常に入れ替えています。“風通しのいい”生活が好きなんですね」

自作のホームページをきっかけに、好きなことを掘り下げて書ける環境が整い始めた

そしてある日、ターニングポイントが訪れた?
「インターネットの登場がきっかけですね。’98年に自分のサイトを始めたのですが、好きな乙女カルチャーのことを書ける場所ができて、すごく楽しくって。ところが、書いていくうちに容量がいっぱいになってしまった。それで中身を削らないといけないっていうときに、もったいないからその分を小冊子にして書店に持ち込んだんです。そうしたら、それを読んだ編集者の方たちからメールがきて。雑誌『オリーブ』で連載が始まり、晶文社からは『オードリーとフランソワーズ』という本を出版してもらいました」

すごい! ネタはいつどこで自分の中に蓄えていたのですか?
「古本屋に行ったり、映画を観たり、中古レコード屋に通ったり。20代でそうやって仕事とは別に、楽しみながら自分なりの筋道を立てられたことが素養になっていたというか…。そもそも、女性の持つ弱さや痛みって社会に出るとなくさないといけないと思いがちですが、そういったものを持ち続けていく強さもあると思う。自分の中で蓄えたものを熟す時間があったことはとてもよかったと思います。」

では本について。読者に対して何かお薦めを教えて頂けますか?
「日本人なら津村記久子さん。芥川賞受賞作が話題となりましたが、個人的には『ミュージック・ブレス・ユー!!』を推薦したい。読むと、気持ちが上がります。海外だとケリー・リンクかエイミー・ベンダーか。2人とも女の子っぽい感覚が強くて、現実から半歩起き上がったところの物語を書くのがうまい。あとはミランダ・ジュライ。女の人の痛い部分とか、ちょっと孤独な部分とかをふわっとした世界観の中で表現しているのがいい。最後に小説ではないけれど、バーニーズニューヨークのクリエイティブディレクターによる、痛快なインタビュー集『ワッキーチックス』もお薦めです! これを読むとすごく元気になるし、自由な気持ちになれる」

本を読むことで、自分とまったく違う人生に触れてみるのも面白いですよ

本を選ぶヒントって、何かあるんでしょうか?
「できるだけ、自分から〝遠い〟主人公を選んでみては? 30~40代の女性はエッセイでも小説でも、自分と似た環境の主人公に感情移入するという読み方が多いんですね。例えば海外に住む男の子が主人公の小説を選んだり、自分の人生とまったく違うストーリーに触れることで、世界が広がることもあります」

山崎さんはどんな環境で読書されるのでしょう?
「私は読む場所だけでなく、季節とか状況も考えますね。寒い日にこれを読もうとか、この本はプールに持って行って読もうとか、あの花が咲いたらあれを読もうとか」

では書くときには?
「古いマンションですが眺めがよく落ち着くので、普段は自宅でMacを使って書いています。今年初めて海外小説の翻訳を手掛けたときには、最初からパソコンに向かうのではなく、電子辞書と本、それにノートと万年筆を持ってスターバックスコーヒーの店内で書きました。原作の持つ雰囲気、まさにダイナーのざわめきのようなリズムを、文章に反映させたかったからかもしれません」

山崎さんの翻訳による小説、楽しみですね!
「ありがとうございます。タイトルは「イー・イー・イー」といいます。イルカの鳴き声なんですよ(笑)。8月上旬に河出書房新社より刊行される予定ですので、ぜひ手にとってみてください」

N.Y.在住の若手作家、タオ・リンの小説を山崎まどかさんが翻訳。ピザ屋で働く高学歴フリーターのアンドリューを主人公にした00年代の青春小説『イー・イー・イー』(河出書房新社/¥1,575)は8月6日発売予定。

山崎まどか

山崎まどか
やまさきまどか/文筆家、コラムニスト。清泉女子大学文学部卒業。雑誌ライターを経て、映画や本、音楽についての豊富な知識と独自のカルチャー考察が注目を集め、コラム執筆を手掛けるようになる。著書に『乙女日和』(アスペクト)、『女子映画スタイル』(講談社)、共著に『ハイスクールU.S.A』(国書刊行会)など。HP:http://romanticaugogo.blogspot.com/