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忙しい日常からしばしのエスケープを楽しむ夏のバカンス。そんなとき、鞄にしのばせたい「とっておきの1冊」を、本や映画に造詣の深いコラムニストの山崎まどかさんにセレクトして頂きました!順次、新たなブックレビューを公開。ぜひ、チェックしてください。

やまさきまどか/文筆家、コラムニスト。映画や本、音楽についての豊富な知識と独自のカルチャー考察が人気。著書に『乙女日和』(アスペクト)、『女子映画スタイル』(講談社)、訳書に『イー・イー・イー』(タオ・リン著/河出書房新社)など。8/26にプランタン銀座、9/26に大阪・朝日カルチャーセンター中之島教室でカルチャー講座を開催。
公式HP: romanticaugogo
SHOT°Magazine 山崎まどかさんのインタビューはこちらから


海辺や南国。のんびりリゾートで読みたい本は?
「最終目的地」ピーター・キャメロン著
新潮クレストブック/新潮社/2400円(税別)
ジェイムズ・アイヴォリー監督が映画化。米作家の傑作長編 
「ワイルドフラワーに集まる蝶の羽音だけがかすかに聞こえる、南米ウルグアイの人里離れた土地。そこに一冊だけ本を書いて自殺した作家の縁の人々が住んでいる。干上がった湖と遺留品、古い洋館の描写を読んでいると、登場人物たちのように暑い気候の中に身を浸して、ノスタルジーに身を任せて生きてみたくなってくる。ふと本から目を上げると見知らぬ土地にいる、というシチュエーションにぴったりとはまる優美な小説。読み終わる頃には、主人公のように思わぬ『目的地』が心の中で像を結ぶかも」


帰省先や日本の田舎で読みたい本は?
「村のエトランジェ」小沼丹著
講談社文芸文庫/講談社/1400円(税別)
「小沼文学」入門の書。初期作品の八篇を収録した詩情溢れる1冊 
「庭に白孔雀を放し飼い出来るようなホテルを夢見ながら、貧乏な宿屋を営む夢見がちな男のもとでバイトする青年が経験する一夏の騒動記『白孔雀のいるホテル』のひなびたユーモアを味わい、小さな村に疎開してきた美しい姉妹を巡る恋の悲劇を、少年たちの視点で描いた『村のエトランジェ』を読んでため息をつく。小沼丹の短篇には戦前の都会のモダンさと、懐かしい畳の匂いが混在する。セミの音をバックに、冷たいお茶を飲みながら読みたい」


シティホテルや都会のバカンスで読みたい本は?
「ロリータ」ウラジミール・ナボコフ著
若島正訳/新潮文庫/新潮社/857円(税別)
中年男の少女への倒錯した恋を描く名作古典が、決定版新訳で登場 
「あまりに有名なナボコフの古典だが、新訳で読むとまた新鮮。主人公ハンバートが少女に固執する理由となった悲劇的な初恋の話に胸を打たれ、街から街へ、モーテルからモーテルへと放浪し続けるロリータと彼の熱っぽい逃避行の旅に心を奪われていく。ロリータがただの無邪気な少女ではなく、したたかで自分の欲望に忠実なところも魅力的だ。物語の官能をホテルの冷たく清潔なシーツでクール・ダウンさせながら読むといいかもしれない」

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