ワインにかけるピーロート家、11世代

1 February 2012 ・ 05:00 PM JST

ワインにかけるピーロート家、11世代

ドイツの「ピーロート」といえば、「ピーロート・ブルー」と呼ばれる透明感あるブルー・ボトルに入れられたワイン、あるいは個人の御客様への直接販売で世界的に知られているが、この一族は、1675年から11世代に亘ってワイン造りを基盤としたワイン・ビジネスに携わってきている。この長い歴史の中で育まれた、自社の「ピーロート・エステート」ワイン、販売のアイデアやワインとの関わりなど、いくつかの側面からピーロート一族にフィーチャーしてみたい。

ドイツのワイン産地は、主に西部地方を流れるライン川沿いに広がっています。そしてピーロート一族が1675年から3世紀以上ぶどう栽培を行っているナーエ地域は、その一角、東にラインヘッセン地域、西にモーゼル地域を臨む場所に位置しています。ナーエは比較的小さなワイン生産地ですが、もともと火山活動が盛んな一帯だったため、地質がとても多種多様なことで知られています。つまり、ある畑の土壌と、すぐ隣にある土壌が大きく異なり、それらに植えられたぶどうが同じ品種であっても生まれるワインの個性が異なる、という結果になるわけです。そして、より北部にありドイツワインの有名な産地であるモーゼルやラインガウに比べると温暖なため、よりマイルドなニュアンスのワインとなるのが特徴といえるでしょう。

さて、ピーロート一族はナーエに25ヘクタールものぶどう畑を所有し、リースリングという世界的にも高貴な品種とされる白ワイン用の品種を主体に栽培しています。この品種は、例えばフランス、ブルゴーニュのシャルドネという品種とは異なり、小樽による熟成を施して、その樽の香ばしい風味を付加することは一切しません。つまり、よりピュアな状態で瓶詰めされるため、他品種よりもぶどうそのものの品質がストレートに表現されるといっても過言ではないでしょう。もちろん、長年この品種と向き合ってきたピーロート一族は十分に品種個性を理解して「素晴らしいワインはぶどう畑で造られる」「ワインセラーでは必要な干渉を最低限に抑えている」としています。ですから、何よりも畑での仕事が重要視され、とにかくぶどうの木の手入れは一年を通して気を抜くことなく行われているのです。

ナーエの風景は「牧草地と岩石」と表現されている通り、ナーエ川とその支流の両岸に貼付くようにしてある急斜面の畑は、一日を通して日照量が豊かで風通しがよいという好条件に恵まれています。更に、「単一畑」として認められている昔から上質なワインを生み出す畑を、ピーロート家はいくつも所有しています。例えば、「ドルスハイマー・ピッターマンヒェン」「ドルスハイマー・ゴールドロッホ」「ブルグ・ライヤー」などが有名ですが、「ビンガーブリュッカー・レーマーベルク」の場合にはピーロート家だけが単独で所有している単一畑で貴重な存在です。これらの畑で丹精込めて育てられたぶどうの雫が、美味なるワインへと姿を変えてゆくのです。

例えば、現当主のDr.ヨハネス・ピーロートは「リースリングはどの季節でも」とても美味しく飲めるといいます。甘口タイプは「素晴らしいデザートワインとしても優れているし、特に週末の遅い朝に開けると、気持ちをアップさせてくれる」。一方、辛口系ならば「食事と共に」というアドバイス。比較的アルコール度数が低めで味わいも上品なので、野菜をはじめ私たち日本人が日常で食べているものと相性がとてもよいものが多いのです。

また、Dr.ヨハネス・ピーロート曰く、単独所有の「ビンガーブリュッカー・レーマーベルクはスレート土壌が豊かなため、ミネラルとアロマがとても豊か」、単一畑の「ドルスハイマー・ピッターマンヒェンは、桃やシトラス系のアロマがとても秀でていて、リースリングらしいワインができあがる」といいます。それほど距離が離れていなくても、明確な個性の違いがでるのがこの地域の魅力のひとつですね。

ぶどう栽培とワイン造りを行ってきたピーロート家が、ワイン販売に着手したのは20世紀に入ってからでした。1956年に、現会長のクノー・ピーロート氏が兄弟と共に始めたのがきっかけです。そもそもは、一般的に「セラードア」と呼ばれているように一般の顧客がワイナリーを訪問してくれて試飲して購入する、というシステムだけでしたが、反対に家庭を訪問して試飲してもらえるようにしたらお客様が楽ではないか?という発想です。加えて、「ワインは好きだけれど、何を購入していいのかわからない」という方々には、実際に味をみてから決めるという方法は理にかなっています。これがとても評判がよかったことから、一族のワインだけではなく他社のワインもそのワインリストに加えられるようになり、欧州各国だけでなく、日本でもワイン販売が開始されたというわけです。

Dr.ヨハネス・ピーロートご夫妻がどれほどワインを愛しているかは、お宅のワインセラーを拝見するとよくわかります。8年ほど前に家を新築した際、ワイン専用の部屋を作られたようですが、そこには自社のものや自国のワインだけでなく、フランスのボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュをはじめ各国の銘醸ワインが所狭しと並んでいます。お子さん達の生まれ年ワインはケースごと積まれていて、手をつけてはいけないゾーンになっているようです。

それぞれに「もしも1本しか無人島に持っていけないとすれば?」という問いには、旦那様はボルドーの銘醸でシャネル一族が所有している「シャトー・ローザン・セグラ1998 」、奥様はシャンパーニュの小さな生産者で品質に定評がある「エグリ・ウーリエ」を選ばれました。とはいえ、お二人の最近の好みは一致していて「10年から20年を経て熟成したもの」。熟成して、若い時にはない独特の香りと味わいが現れた銘醸ワインということでしょう。確かに、このようなワインを味わいためにも広いワインセラーが必要だと思われたのだと理解できます。

ワインと共に毎日を送るピーロート家では、もちろんそのお伴となる食事へもこだわっていらっしゃいます。そこで、読者の皆様方のために特別に、2種類のお料理の作り方を教えていただきました!リコッタチーズを使ったチーズ・ニョッキともいえる「マルファッティ」と、仔牛肉の挽肉をレモンの皮やナツメグ、アンチョビーと共にミートボールにして茹で上げ、クリーミーなソースをからめた「ケーニヒスベルガー・クロブス」です。レシピの詳細は、下記のリンクからぜひご覧ください。

 

1 February 2012 ・ 05:00 PM JST

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