「人は自分に自信がつくことによって人生がどんどん変わっていくと思います。美でも何でも自分に自信が持てたら、良い方向のスパイラルに入っていくと思うのです」。
ニューヨークでビューティーセラピストの資格を取得後、国内外で美容家として活躍してきた山本未奈子さん。彼女の美容に対する熱意と幅広い知識は多くの女性から注目されています。多数のメディアで活躍中の彼女が語る、美肌へのアプローチ法をたっぷり伺ってきました。
◆美のキーポイントは“4つの柱”◆
―山本さんにとって美とは何ですか?
美とは全体的なバランスだと思います。いつも私は肌の話をするときに「肌や身体は細胞で成り立ち、その細胞をつくり出しているのは私たちが日々口にしている食べ物です」とお伝えしています。同じように美も単体で成り立つものではありません。食べ物・運動・睡眠・ホルモンバランスの4つの柱があって初めて成り立ちます。肌にとって食べる物はもちろん大切ですし、運動によって代謝が上がり、肌の生まれ変わりを促進してくれます。そして睡眠。人間は起きている時に脳や臓器に血液が集中していますが、睡眠中は臓器が休まり血液が末端まで行くことで、栄養が隅々まで行きわたるのです。最後はホルモンバランス。これによって肌やオーラにも違いが出てきます。恋をするなど刺激を受けることも大切ですよね。こういった4つのバランスで成り立つものが美だと考えています。
―生活のモチベーションアップのコツは?
自分の生活にやりがいをもつことじゃないでしょうか。好きなことを仕事にできる方ばかりではないと思いますけれど、何か楽しみや好きなことを見つけておこなうことによってモチベーションが上がるのではないかと思います。私自身、いつも目標は高く掲げているようにしています。その目標を達成するための、やらなくてはいけないことリストを作り、1つずつこなしていって目標へ近付いていきます。
あとは優先順位を必ず自分のなかでつけておくことです。家族が優先順位の一番と決めている人は、家族の時間を優先してとって、そのなかで仕事をやりくりする。仕事が一番だったら仕事を優先させて、プライベートをやりくりする。優先順位とオン・オフのスイッチをきちんと持っていたらいいのではないかなと思います。スイッチをきちんと持っていないと全部が中途半端になってしまいます。私も昔はできなかったけれど、徐々に時間の使い方や優先順位の付け方が上手になり成長してきたかなと思います。
◆老化の外的要因の約80%は紫外線!効果的な紫外線対策は?◆
紫外線は肌に良くない―みなさん何となく知っていることではないでしょうか?実はスキンケアをどんなにしっかりおこなっても、紫外線対策を怠れば肌の老化は進んでいきます。正しい紫外線対策を心掛けましょう。
―紫外線対策は、なぜ必要なのか?
肌の老化の外的要因は、約80%が紫外線によるものと言われています。肌のなかにはメラニンの貯金箱があるイメージを持ってもらえればわかりやすいかと思いますが、紫外線を浴びたからといって、次の日にシミやしわができるわけではありません。けれど、積み重なって貯金箱がメラニンでいっぱいになったとき、突然大きなシミができたり、シワができたりします。だからこそ若い時に過信するのではなく、今からの積み重ねが10年後の肌をつくるのだという意識を持っていたら少しずつ変わってくるのではないかと思います。やるのとやらないのとでは、将来その違いは大きいですよ。
―結果がすぐに見えなくても、意識することが大切ですか?
少し意識するだけでも、変わってくると思います。私の美容理論は、「美肌をつくるために必要なのは、お金や手間をかけることよりも正しい知識」と話しています。
たくさんの化粧品を試せるお金と時間がどんなにあったとしても、正しい知識を理解し、正しいスキンケアを行わなければ、注ぎ込んだ時間とお金に見合う結果は出ません。肌にとって何が必要か?また必要な成分をどのように取り入れたらいいのか?これさえ理解し、正しいスキンケアを実践すればお金と時間を節約できるだけでなく、これからの肌をつくることになります。
―つい省いてしまいがちな紫外線対策。どのように取り入れていけば良いでしょう?
特別なケアというよりは、紫外線対策をスキンケアの一部にしてしまえば良いと思います。日頃顔を洗えば保湿することを忘れないように、スキンケアの延長として日焼け止めを塗りましょう。
みなさんやりがちなことは、お手入れを顔だけで止めてしまうことです。スキンケアも紫外線対策も、すべて顔止まりであることが多いですが、実際、紫外線を浴びるのはデコルテや首も同じですよね。首元に年齢が出やすいと言われている理由はここです。ですから、デコルテまでが自分の顔だと思ってケアしましょう。手も同様に年齢が出やすいところで、紫外線を常に浴びているので、対策をお忘れなく。できたらSPFが入っているハンドクリームを塗ったり、メイク直しの時に手にもファンデーションをワンベール塗ったりするだけでも変わってきます。
【日焼け止めの注意点】
・塗り忘れのないようにまんべんなく伸ばす。髪の生え際、首のうしろ、耳の裏、デコルテなどが忘れやすい部分です。
・汗をかいたらこまめに塗り直しましょう。
・SPFはシミの原因となるUV-Aを防ぐ指数、PA(+サインで表示されているもの)はシワやたるみの原因となるUV-Bを防ぐ指数です。毎日使用する日焼け止めであればSPF20~30、PA++程度がおすすめです。
・日焼け止めは成分が肌に浸透しないように粒子が大きく作られているため、美白やアンチエイジング成分が入っていても効果はありません。
◆気になるカテゴリー別ケア方法◆
顔だけをきれいにしようとしても、美は成り立ちません。付随する部分にまで、目を向けてみましょう。美にはバランスが重要です。
―どうしても疲れて眠い夜、最低限のケアは?
「メイクをしたまま寝ちゃったから肌の調子が悪い」なんて言葉をよく耳にしますが、メイクをしたまま一晩寝たくらいでは、肌に浸透して肌荒れの原因になることは少なく、寝不足のほうが原因となることが多いです。
血液は昼間は脳や臓器に集まっていますが、寝ている間に、末端まで血液が行き渡り酸素や栄養を運び、肌の生まれ変わりを助けます。
しかし化粧品に含まれている油分や皮脂は何日かすると酸化してしまい、肌トラブルを起こすことは大いにありえます。
―睡眠時間はやはり大切ですか?
睡眠は、時間より質が大切です。質の良い睡眠とは、寝る前30分で交感神経から副交感神経への切り替えがうまくできていることを指します。ですので、寝る前30分は脳に刺激があることは避けましょう。例えばパソコンや携帯などは避けて、30分間は自分のリラックスタイムになるように心掛けると質の良い眠りにつくことができます。
私の場合は、お気に入りの香りがするキャンドルをつけたり、子供の脇に少し横になったりするだけで全然違うんですよね。
―お風呂のあと、理想的なケアは?
私はお風呂のあとのスキンケアは、ストレッチタイムにもなっています。洗面台に足をのせてストレッチしながら、クリームを塗ったり(笑)。一石二鳥で時間短縮になっていますよ。化粧品を選ぶポイントとしては、高価なものを少しずつ使うよりは、自分の手の届くものをふんだんに使った方が効果的です。化粧水は基本的に保湿をするものではないので、油分を含む美容液もしくは乳液、クリームを使い保湿しましょう。そうすることで水分の蒸発を防いでくれます。
また、目のクマが気になるときは血流が滞っていることが多いので、温めたりお風呂に入ったりすると割とすっきりします。
―背中やヘア、ネイル…肌以外のケア方法は?
私は背中など手が届きにくいところも、ストレッチを兼ねてスキンケアをやっています。やっているうちに身体まで柔らかくなってくるんですよ(笑)。身体のなかで、デコルテと背中は皮脂腺が活発な場所です。ですからこの部分だけは、顔と同じように扱いましょう。顔用の化粧品を身体に使うのも問題ないですね。顔に比べて身体がセンシティブでないのは、紫外線が及ぼす影響の有無が関わってきます。顔は普段外に出ている分、ダメージを受けやすいのです。
爪も髪も細胞からできているので、基礎的な美の4つの柱を意識しましょう。栄養バランスが整っていれば、爪も強くなってきます。爪や髪は肌と違って死んだ細胞なので修復機能はないですが、生えてくるものが健康であれば強いと言えます。ビオチンというビタミンの一種は、爪や髪を強くする働きがあり、アトピーの方にも効果的です。
◆つい、おこなってしまうダブル洗顔はNG?◆
乾燥肌や敏感肌を引き起こす原因は「洗いすぎ」。山本さんはダブル洗顔を見つめ直し、タオルを使用するシングル洗顔にすることを推奨しています。クレンジング剤のあとに洗顔フォームでも洗っていませんか?
―スキンケアを変えようという方への、おすすめの最初の一歩は?
ダブル洗顔をシングル洗顔に変えることをおすすめします。クレンジング剤と洗顔フォームを使用するダブル洗顔は、乾燥肌や敏感肌を招いてしまいます。
―クレンジング剤と洗顔料では落とす成分が違う?
クレンジング剤と洗顔料は種類は異なりますが、洗浄成分が含まれている点は共通です。メイクや日焼け止めは油溶性なので、クレンジング剤や洗顔料で洗う必要がありますが、クレンジング剤のみの一度の洗顔でメイクや汗、ほこりなどの汚れも落とすことができます。種類は違っても洗浄成分で二度も顔を洗ってしまうと、肌が本来持つ、天然のうるおいのバリア(皮脂)を取り去ってしまい、乾燥するだけでなく、外部からの刺激にも敏感になってしまいます。
シングル洗顔に変えることは、スキンケアのルーティンを変えることなのでなかなか勇気がいると思いますが、洗顔方法を変えたら乾燥肌がなおったという嬉しいお声をよく聞きますので、ぜひ騙されたと思って試してみて欲しいですね。実際ダブル洗顔をしているのは日本人をはじめとするアジア圏の方くらいです。
化粧品がこれだけ進化しているのに、乾燥肌を訴える人はどんどん増加しているのが現状。私も美容を学ぶ前は自らのケアが原因で、乾燥肌と敏感肌に悩まされていた経験がありましたので、ぜひご参考になれば嬉しいです。

―タオル洗顔のすすめ。
クレンジング剤だけのシングル洗顔ではべたつきが気になるという方に、私はタオル洗顔をおすすめしています。クレンジング剤をなじませ、洗い流すときにタオルを手の上で広げ、ぬるま湯をすくいながら洗い流していく方法です。タオルは必ず肌に刺激がない柔らかいものを選び、こすらず、優しくなでるように落としていきましょう。
◆「肌は腸を映し出す鏡」―食事の補助としてサプリメントを◆
現代社会に生きていたら、「美肌に必要な栄養素」を十分に摂ることは、なかなか難しいのが現状。山本さんはそこで食事の補助として、良いサプリメントを上手に取り入れる方法を推奨しています。元はアンチサプリメント派だった彼女が選ぶ「良いサプリ」の基準とは?
―栄養がもたらす肌への影響とは?
美肌の条件は「体が必要としている栄養素を効率的に取り込むこと」に尽きます。
本来なら必要な栄養素は毎日の食事から栄養を摂るのが一番理想的ですが、野菜の栄養素は以前より著しく減っていますし、食事は西洋化する一方で、「栄養素を肌に届ける」ための量として十分ではありません。「普通の食生活」では足りないと気づき、私はサプリメントを取り入れるようになりました。
東洋医学では「肌は腸を映し出す鏡」と言われるように、それだけ体内の状況を反映するものです。腸をきれいにするには、発酵食品や乳酸菌を取るのが良いですが、たくさん摂ろうとすると、例えばヨーグルトの場合は糖分や脂肪分も一緒に摂ってしまうことになります。
その点サプリメントでしたら効率よく乳酸菌を取り入れることができ、便秘や肌荒れの改善につながります。
―サプリメントの取り入れ方は?
栄養素を摂取するうえで気をつけたいのが、「栄養素はチームで働く」ということです。私はよく野球チームに例えるのですが、優秀な4番バッターがいても、チーム全体が強くなければ勝てないですよね。栄養素も同じで、単独では力を発揮しません。抗酸化物質やコエンザイムQ10、ビタミンCなど、ある特定のものだけでは効果を発揮せず、非効率なのです。ビタミンやミネラルがバランスよく揃っていることが大切です。
外食が続いたり、食事のバランスが偏っているならば、マルチビタミン・ミネラルでベースを整えましょう!
―サプリメント購入の際に、気を付けることは?
きちんと栄養素が入っているかを確認することが大切です。意外と巷で売られているものは栄養素の配合率が低いのです。ある有名ブランドのサプリメントは、99.98%が添加物で、栄養素はほんのわずかでした。目を疑ってしまうような驚きの数値でした。
私自身も日本に帰国して以来、なかなか良いサプリメントに出合えなくて、サプリメントジプシーになっていました。そして、美肌効果はもちろん、抗酸化、免疫力アップ、ホルモンバランスにアプローチするような本物のサプリメントが欲しい!と思い、専門の先生にご相談に伺い、自ら納得のいくサプリメントを開発することになりました。
―楽しみながらモチベーションを維持する方法は?
私は基本的にあまりストイックではないので、食べるときは楽しく食べて、3日間ルールを取り入れています。食べすぎたと感じたら、次の日は野菜中心の食事に切り替えたり、運動を取り入れたりして3日間でバランスを取るように心掛ける方法です。
同じように、美の4つの柱もあまりにストイックにすると窮屈になってしまいますよね。だからこそバランスが大切なのです。3日間のくくりでうまく調整していけば良いと思っています。
【サプリメント選びの注意点】
〜山本さんの著書である『美人になる食べ方』より良いサプリメント選びの指針をご紹介〜
・成分表と原材料欄を見るクセを。 成分表示は配合量の多い順に記載されています。
・添加物の割合は? 1粒の重さ-栄養素の量=添加物です。
・生産ラインをチェック。
・監修者は誰かをチェック。医師が監修しているものが安心です。
日本人はみなさんとても美意識が高くて素晴らしいと思います。でも顔にできたシミやニキビなどの細かい部分にこだわり過ぎるような気がします。シミやにきびばかりに気を取られて、髪や爪などがおざなりになっているとマイナスに見えてしまいます。細かい部分よりも、全体的な雰囲気を大切にすると、より良くなるのではないかと思います。
―ショットマガジン読者へメッセージ
今食べているもの、今やっていることが将来の自分をつくるので、食べる前やスキンケアの前に考える習慣をつけたら、3カ月後、半年後、1年後の自分がどう変わっていくかに繋がると思います。
気付いた時にはあれ?と変化を感じるのではないでしょうか。特に悩みを抱えている方の方が変化は感じやすいかと思います。食生活が不規則な方はサプリメントで変化を実感できるでしょうし、乾燥肌が気になる方はダブル洗顔をやめて1週間くらい経つと、改善に向かっていくと思います。すぐに結果が表れないとしても、肌のターンオーバーと言われている28日間が過ぎる頃には何らかの変化が感じ取れるのではないかと思います。
【インタビュー関連本】
『輝いている女性は秘かにやっている NY発 全身美肌術』(マガジンハウス)
肌やスキンケアの基本的なメカニズムから、全身のパーツ別お手入れ方法まで幅広く紹介。各カテゴリーには山本さんおすすめコスメの紹介、巻末には目的別のビューティーサロン紹介があり、参考にしやすい1冊。他に『今まで誰も教えてくれなかった極上美肌論』(武田ランダムハウスジャパン)、『美人になる食べ方』(幻冬舎)。
PROFILE
山本未奈子(やまもとみなこ)/美容家。MNC New York Inc.代表取締役。NY州認定ビューティーセラピスト。英国ITEC認定国際ビューテースペシャリスト。NYの美容学校で学んだ後、同校の非常勤講師として教鞭を執る。活動拠点を日本に移し、2009年7月に美容ブランド「Simplisse(シンプリス)」を発表。現在は美容をテーマにした講演や執筆活動、雑誌の美容記事監修、メディア出演など多方面で活躍している。





中村格子先生『実はスゴイ!大人のラジオ体操』 