撮影:加藤 孝
「追憶のヴェールに包まれた、切なく哀しい家族の肖像。
そこからゆっくりと姿を現すかのように、静かに語られていく過ぎし日の情景 。
過去と決別した者と過去に取り残された者たちが、
記憶の中で交錯し、封じ込めたはずの家族への思いがあふれ出す。」
大恐慌の嵐が吹き荒れた1930年代のセントルイス。その路地裏のアパートにつつましく暮らす3人家族がいた。
母アマンダ(立石凉子)は、過去の華やかりし思い出に生き、子供たちの将来にも現実離れした期待を抱いている。 姉ローラ(深津絵里)は極度に内気で、ガラス細工の動物たちと父が残した擦り切れたレコードが心の拠り所だ。
父親不在の生活を支える文学青年の息子トム(瑛太)は、そんな母親と姉への愛憎と、やりきれない現実への閉塞感の狭間で、いずれ外の世界に飛び出すことを夢見ている。
ある日、母の言いつけで、トムが会社の同僚ジム(鈴木浩介)をローラに会わせるために夕食に招待する。
この別世界からの訪問者によって、惨めだった家族にも、つかの間の華やぎがもたらされたかのようだったが……。
物語は、かつて家を捨てた息子トムが、観客に向けて過去の出来事を語りかける「追憶の芝居」という形で進行していく。「忘却の彼方」から呼び起こされ、劇場の照明下に照らし出される「過去の断片」は、叶わぬ夢への挫折感と行き場のない閉塞感を抱えていたトムが過ごした家族との日々…。都会の片隅で、世間から取り残されたように生きる3人の家族が、それぞれに精神的孤立感を深めていく姿が、「過去 」「現在 」の両方に存在するトムの視点から語られる。それは、時に客観的で突き放したように、時に悔恨と郷愁に満ちた叫びをもったように、私たちに届けられる。
2011年に生誕100年を迎えたアメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズ。それにちなんだ上演も数多く見受けられますが、“メモリアル・イヤー”でなくとも、彼の戯曲は世界中で頻繁に上演され、特に日本では、舞台のみならず、英文学の教材や研究テーマとしても多く取り上げられるなど、最も親しまれているアメリカの劇作家、と言えるかもしれません。数多い作品の中でも、自伝的要素が色濃い本作 『ガラスの動物園』(1945年ブロードウェイ初演 /‘50年日本初演)の人気は高く、もうひとつの代表作 『欲望という名の電車』(’47年初演)と並び、時代を超えて人々を魅了し続けている不朽の名作です。
ガラスの動物園
【公演期間】2012年3月10日(土)~4月3日(火)
【会 場】Bunkamuraシアターコクーン
作: テネシー・ウィリアムズ
演出: 長塚圭史
翻訳:徐賀世子
出演: 立石凉子、深津絵里、瑛太 鈴木浩介
一般前売開始日: 2012年 1月14 日(土 )
URL:http://www.siscompany.com/




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