女性・美・生き方…彼女が語ったキーワードとは?夏木マリさんインタビュー

22 December 2011 ・ 07:27 PM JST

女性・美・生き方…彼女が語ったキーワードとは?夏木マリさんインタビュー

演劇、音楽、声優、カルチャー……とジャンルレスに活躍中の夏木マリさん。彼女が放つ圧倒的なパワーと唯一無二の存在感は、性別や年齢を問わず、幅広い層にファンを持ちます。その自由でありながら芯の通った生き方や、年齢を超えた妖艶な美しさに憧れを抱くショットマガジン読者もきっと多いはず。プライベートでは今年、長期間“フランス婚”の関係にあった斉藤ノヴさんとの結婚を決断された夏木さん。力強いパートナーを得て、ますますエイジレスに輝き続けている彼女の「美」へのアプローチについて、さらには現在注力されている活動についてなど、様々な興味深いご意見を伺ってきました。

「美」の基本

—食事は「美」を作る大切な要素です。朝、昼、夜、どのような食事をされていますか?
朝は、私は食べたほうが元気になるので食べています。皆さん、朝昼夜、それぞれの比重やバランスで食事をとっていると思いますが、私の生活習慣では、朝食は必要です。食べないとしょんぼりしてしまうし、かといって重たい食事だと動けなくなるので、糖分とフレッシュなものは最低限、摂るようにしています。結局、定番の朝食としてフルーツやジュースに行き着いていますね。そして、昼食を中心として、たくさんの量を食べ、その分、夜は簡単にします。

そして、生活の変化と共に、食事のしかたは変わったかもしれません。カロリーではなく、食べる順番を気にするようになりました。消化に良い食べ方を心がけています。食べ物はすべて身体にいいと思うのですが、“賢く摂る”必要があると思います。新しい食事や美容の情報は、雑誌で見たり、ボディトトレーナーに勧めてもらったり、色々なところから得ていますが、「これは自分にいいな」と思ったことはどんどん取り入れています。

—「美」の天敵・ストレスを感じられたときは、どうされていますか?
食べて、寝ること。あとは、一日に一回は声を出して笑うようにしています。声を出すということは、とても健康的なことだと思うのです。楽しい気分になれますし。毎日の生活のなかで、大声を出すことってあまりないですよね。最近は、子供たちでさえ外へ出て大声ではしゃぐことが少ないようですが、それは不健康じゃないかな、と感じます。元気になるためには、子供たちにふれる時間もいいですね。「彼らの元気を吸い取っちゃえ!」みたいな感じです(笑)。

—美肌を保つために、スキンケアで気をつけていることはありますか?
クレンジングにプライオリティを置いています。化粧品のCMに出演しているのですが、品質が良いので出演しているブランドの製品を毎日使っています。昔ながらの「コールドクリーム」があったりするのも良いですし、「マッサージクリーム」なども使い心地がすっきりして、肌に合いますね。最近、「日本人の肌には、やっぱり日本の化粧品がいいのかな」と思い始めました。
そして、あまり過剰に顔を洗わないようにもしています。ライブのように濃い化粧をするときは別ですが、普段は、クレンジングクリームで落として、マッサージクリームをして終わりにしています。

美とは“信念”

—女性であれば、常に「美」を追求したいと思うものですが、夏木さんにとっての「美」とは?
信念でしょうか。自分にとっての美意識を貫くには、ある程度の信念が必要だと思います。例えば、今のスタイルからもう少し痩せよう、というときに、「痩せ“たい”」ではなく、「痩せ“る”」という信念を持つ、ということです。自分の持っているイメージに近づくためには、信念を持っていないと、くじけてしまうでしょう? くじけそうになったときは、「できあがったときの自分」を想像して、進むしかない。「自分の好きな美しさ」を完成させるためには、信念がマストだと思います。

—夏木さんが「美しい」と思うのは、どのような人ですか?
まずは、感謝ができる人でしょうか。何をするにしても、「ありがとう」という気持ちがある人は素敵だと思いますね。感謝の気持ちがあると、賢くもなれるし、賢い人は美しいと思います。あとは、歳を重ねていくと、“健康”ということがまず美しさのベーシックだと思います。

—夏木さんのように、女性としても人としても「美しく」なるためには、どのようなことから始めればよいでしょうか?
まず、「自分が戦うもの」と「戦わないもの」とを、整理しなくてはならないと思います。皆さんそれぞれ、時期によっても変わると思いますが、今の私は、「年齢とは戦わない」「世の中の情報とは、あまり戦わない」という感じです。何を実行するにしても、最終的には「自分と戦う」ということになるとは思いますが、歳を重ねるごとに、「圧倒的に戦う」ものと、「ここは戦わない」というものを、整理していかなくてはならないと思いますね。自分にとって「これは好き、これは嫌い」、「これは必要、これは要らない」ということを整理していく。そうしないと、自分は何に向かっていいのやら、分からないですよね。自分を本当に好きになれるまで、そういった“整理”は必要かもしれません。

あと、私はよく「心を鍛えるなら、身体を鍛えろ!」なんて言っていますね。女性誌などで相談を受けることが多いのですが、みんな少し“考えすぎ”じゃないかなと思います。考え込むよりも、まず「行動」すること。私はすぐ行動して、沢山失敗もしてきましたが、失敗することで学習したことも沢山あります。失敗をして、ちゃんとそこから確認ができていけばベストですよね。「こうなってしまったら、どうしよう!?」というようなことを、やる前から考えたりはしませんので、いつも崖から飛び降りるような感じですが(笑)。でも、生きていく上で、そういった“危機感”みたいなものって大切だと思いますよ。

「欲張り」なことが、パワーの源

—数多くの女性が、夏木さんの生き方に良い刺激を受け、励まされているようです。夏木さん自身が、今までの人生で、影響を受けた人物は?
『印象派』の舞台、これは私の生きていく中の軸になっているものですが、そこで影響を受けたのは、ピナ・バウシュ(ドイツのダンサー、振付家/1940〜2009)という人です。ピナの作品を見て、「私のやりたいのは、こういうことだ!」と思いました。非常に影響もされていますし、私の中での優先順位は非常に高いですね。彼女はダンサーなのに踊らないのです。踊れるのに踊らない、というのが素敵と思います。昔、「ダンスカンパニーなのになぜ踊らないのか」という理由で、石を投げられた公演などもあったそうですが、私の目指すところも彼女と同じところ。ステージに立ったときに、「何もしないけれど、エネルギーがあっていいね」という境地です。大袈裟な表現は、感動が一瞬しか続きません。そういうものではなく、「その人の存在がそこにあるだけで素敵だ」と言われるようなプレイヤーになりたいと思っています。そう思って取り組んでいますが、なかなか思い通りにはいかないですね(笑)。でも、彼女はそれを体現している感じがします。目標ですし、夢を与えてくれた人です。

—歌手、俳優、他にも女性たちの悩み相談から途上国の支援まで、非常に幅広い活動に常にアクティブに取り組んでいらっしゃいますが、何が夏木さんを動かしていますか?パワーの源は?
好奇心がベースになっていると思いますが、一番のパワーの源は「欲」かもしれませんね。夢などもそうですし、食欲も含めて、「あれが欲しい」と思ったら、「絶対に欲しい」と思ってしまって、いつもそれに向かって動いています。「欲張り」なのですね(笑)。最近動いていることで言えば、来年60(ロクマル)になるにあたって、お祭りをしたいなと思っています。私は常日頃、「年齢は記号だ」と豪語していて、全く気にしていないのですが、60というのはスペシャルですから、「ここから人生又、生まれ変わる」という感じもあり、“Re-born”、“RESET”、そんなテーマの一年にしたくて計画を進めています。今は色々な方とお会いして、2012年のアルバムのことやライブ、本の出版の準備を進めることにエネルギーを注いでいます。

—最近の夏木さんの活動の1つに、「One of Loveプロジェクト(※)」という支援活動がありますが、これを始められたキッカケはどのようなことだったのでしょう?(※「One of Love」=2009年より斉藤ノヴさんと夏木マリさんが立ち上げた支援プロジェクト。エチオピアのバラ農園を代表とした地域支援先とし、現地労働者の雇用の安定と、子供たちの生活・教育環境の向上をサポートしている)
特に支援活動をしようと思って始めたわけではなく、旅先の「出会い」から始まったのです。最初は、途上国の子供たちに歌を歌ってあげたり、彼(斉藤ノヴ氏)が楽器を弾いたりして、「みんなに笑ってもらえるといいね」くらいの感じで、旅行で向かったのですが、逆にこっちがものすごくハッピーにしてもらったと言いますか、たくさん教えられることがあったのですね。

—最近は、具体的にどのような活動をされたのですか?
そのバラ園にパソコンを支援しました。みんな学習して、スキルも上がって、離職率も減っているそうです。その中からフローリスト(花屋)になりたいという女性も出てきて、本当に嬉しい限りです。彼女たちにまた会いにいきたいですね。

—「One of Love」を通じて、夏木さん自身にも変化はありましたか?
やっぱり、外国というのは大変ですよね。きちんと意思疎通ができないことも多々あります。今まで、自分の価値観で我侭に仕事をやってきましたが、活動のなかでは「どうやっても、できないこと」にもぶつかります。そこで立ち止まっては……という繰り返しで、何と言いますか、“大人”になりますね(笑)。
あとは、「支援を始めたら、一生続けていかなくちゃならない」ということを、活動から学びました。支援先の皆さんへの「責任」がありますからね。NGO、NPOに入ったわけでなく自分たちで立ち上げたプロジェクトなので、銀行を通じてお金を送ってもらおうと思ったら、「え!?エチオピアにはお金を送れないの!?」ということがあったり(笑)。そんなレベルからスタートしているので、(大変という意味で)笑っちゃうようなことばかりです。でもいつも仕事を度外視して、二つ返事で手伝ってくれる友人たちがいてくれて、彼らには本当に感謝しています。

思いがけず、支援活動ということが人生に加わりましたが、仕事とは違う部分で学べることが本当にたくさんあります。今の私の人生は、「支援活動」、「印象派の舞台」、「ライブ活動」、この三つが柱になって進んでいますね。

発見があるまで、1つのことに「執着」してみて

—常に自身の夢にアプローチし、パワフルに生きている夏木さんですが、「元気がない」と言われることも多い現代の若者たちや、社会の風潮については、どうお感じですか?
今は、あれもこれもと情報がありすぎて、「本当に好きなもの」を見つけるのが難しいのかもしれませんね。数字や合理性ばかりじゃなく、社会にもう少し“アナログな部分”があってもいいのでは、と思います。
これまでレコード会社などでも、「売れなくても、この子たちは面白いから、3年くらい育ててみるか」というような名物ディレクターがいましたが、今はすぐに結果が出ないと駄目で、「ハイ、次!」という感じになってしまっています。「ニワトリと卵」の価値観じゃないですが、「育てるから生まれる」という部分もあるのではないかな、と思うのです。文化というのは、白黒つかない、“隙間”のような部分から生まれることもありますしね。

蓮舫議員の発言で有名になった政府の「事業仕分け」で、私たちも影響を受けました。海外公演をするときの予算などがつかなくなったのですね。百歩譲って、私たちのような者はいいとしても、若い人たちにとっては深刻な話です。このままでは、才能のある人がみんな日本から出ていってしまう気がします。

そういえば最近、国の方針として凄いなと思ったのは、先日皇太子夫妻が来日されていた、ブータン。国民の幸福度が世界一ということもありますが、他国との付き合いがほとんどないのに、子供たちが全員、英語を喋れるよう教育を行っていると聞きました。国にそういう“キャパシティ”があるのって凄いですよね。

—「夏木さんのように、もっとアクティブに人生を楽しみたい」と思っている読者に、応援メッセージをいただけないでしょうか?
今、「忍耐力」がない感じはしますね。パソコンで調べれば、すぐに何でも答えが分かる時代だからでしょうか。私はアナログな世代なので、生まれたときから携帯電話があるような人たちとでは、感覚やサイクルが違うのかもしれません。ですが、もう少し、人間として“踏ん張る”ということがあってもいいのではないかな、と思うことがありますね。

例えば、何かやるときに、1つのことを最低でも「3年」は極めてみる。3年くらいやらないと、何も発見がないでしょう? 自分に何か「発見」があるまで、1つのことに「執着」してみること。自分の好きなものを極めて得意分野ができれば、それが波及していくというか、相乗効果で別の部分も伸びてきたりすると思いますよ。

あとは、「腹をくくる」と言いますか、「何かを始めたら、一生やるつもりでやる」、そんなことを人生で一度くらいやってみてほしいですね。若いうちの苦労は沢山してください。それで成功すれば、後で笑い飛ばせますから。でも何にせよ、「体験」というのは、必ず身になると思います。ぼーっとして歩いてきた人よりも、苦労した経験のある人のほうが、やっぱり話していて「素敵だな」と感じることが多いです。歳を重ねて苦労すると大変なので、元気のあるうちに、ぜひ沢山、苦労をしてください。

◆プチ・クエスチョン◆

 

—これからの人生で挑戦したいことはありますか?
実は、何年か前から「何か楽器を演奏する」と宣言しているのですが、いつも色々なエクスキューズを出して、まだできていない状況なのです。5月が誕生日で、そこに向けてライブを考えているのですが…。ともあれ、一生の課題として必ず「楽器をやりたい」と思っています。ブルースハープなども沢山持っていて、「全キー、自分でやるから!」なんて言っているのですが、全くまだまだな状況ですね(笑)。

—好きな言葉はありますか?
笑いながら良く言っているのは、「“丈夫”も、芸のうち」ということ。「元気なら何でもできる」ということです。人間は健康じゃなくちゃ、という気持ちがあります。あとは、「上見て働け、下見て暮らせ」という言葉も好きですね。自分より上を見たら、もっともっと頑張っている人がいて、夢も希望も持てる。下を見れば、自分より恵まれない人もいて、感謝の気持ちを持って暮らしていける…という意味です。私も、年齢を重ねるごとに「感謝」という気持ちは増えてきましたね。

—「クオリティー・オブ・リビング(良質な生活)」を考えるとき、夏木さんにとって一番必要なものは?

「愛」、ですね。

—「映画の日」を作って鑑賞しているとお聞きしましたが、最近のオススメは?
昔、一人のときは、チョコレートを齧りながら、よくテーマを決めて家で色々な映画を観ていました。2人になってからは、一緒に映画館に行くようになりましたね。最近はノンジャンルで観ています。面白そうなのがあれば、シネコンが家からも近いので、流行りのものなども観ますよ。皆さんにおすすめするなら、先ほども名前を挙げたピナの映画、『Pina / ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は勿論良かったですし、他には、イタリア映画の『人生、ここにあり!』や、『アニマル・キングダム』なども面白かったですね。

—旅行はお好きですか? プライベートで行ってみたい旅行先は?
旅は好きなほうだと思います。短期間なら国内、長期間の休みがとれれば、海外に行きます。そういえば、私が好きな人や尊敬している人は、みんなたくさん旅をしている気がしますね。旅から学ぶことって、本当に多いと思います。もちろん人種差別をされることも、嫌な思いもすることもありますが、それらも含めて。ぼんやり生きていると、旅に出て「ビックリすること」は多いですよね(笑)。
来年は、久しぶりにエチオピアに行く予定です。将来行ってみたいところで言えば、トリニダード・トバゴですね。スティール・パン(南米の楽器)のフェスティバルがあって、それを見てみたいと思っています。その他だと、先ほど挙げたブータンなどもいいですね、「日本と全く文化の違う国」は行ってみたいなと思います。

PROFILE
夏木マリ/プレイヤー、シンガー、ディレクター
73年『絹の靴下』で歌手デビュー。80年代より演劇へも活動の幅を広げ、芸術選奨文部大臣新人賞、紀伊国屋演劇個人賞、ゴールデンアロー賞演劇賞、松尾芸能賞演劇優秀賞等を受賞。
93年から続くコンセプチュアルアートシアター『印象派』では身体能力を究めた芸術表現を確立し、国内はもとより、ドイツ、フランス、イギリス、ポーランド、アメリカでの公演も成功し、演出にあたっている。声優では第75回アカデミー賞長編アニメーション映像賞受賞作品『千と千尋の神隠し』の湯婆婆役の怪演も好評で、04年サッカーワールドカップは予選での国歌独唱は絶賛を博す。
06年「ジビエ・ドゥ・マリー」を率いてブルースバンドを結成。アルバム「GIBIER du MARI 2」でのPV監督も務める。
また。、07年MNT(マリナツキテロワール)のパフォーマンス集団を立ち上げ、後進の指導にも精力を注いでいる。著書に 『かっこいい女!』 『81-1』 『夏木マリのABC』 がある。

夏木マリ オフィシャル・サイト:http://www.marinatsuki.com/

 

22 December 2011 ・ 07:27 PM JST

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