世界各地でマクロビオティック啓蒙活動を/パトリシオ講師インタビュー

29 September 2011 ・ 02:53 PM JST

世界各地でマクロビオティック啓蒙活動を/パトリシオ講師インタビュー

健康、美容、環境の面から近年、注目度が高まっているマクロビオティック。パトリシオ・ガルシア・デ・パレデスさんは、母親の腎臓病が完治したことをきっかけに、このマクロビオティックの世界に従事し始め、世界各地で啓蒙活動を行っている方です。現在は日本に住み、『クシマクロビオティック アカデミィ』にて指導の傍ら、講演、料理教室、シェフトレーニング、著作など、全国各地でマクロビオティックの指導を行っています。「健康だけでなく、環境や社会、平和の問題を解決するためにも、『食物』は重要である」と語るパトリシオさんに、マクロビオティックの方法論や効果について、さらに生い立ちや今後のビジョンまで、様々なことを伺ってきました。

◆地中海式の伝統食から始まった◆

―お母様の病気へのアプローチがマクロビオティックへのきっかけとお聞きしています。マクロビオティック以前は、ご家族もしくはパトリシオさんは、どのような食生活を送っていましたか?
母は南米のチリ生まれで、バルセロナに近い島で暮らしていたものの地元の地中海式料理は作ってはいませんでした。当時、増え始めていたスーパーで売られているレトルト食品や、クリームたっぷりのケーキなども食べていましたね。ですが、母には小さい頃からの持病があり、手術や薬など色々手を尽くしましたが治らなかった。それで『代替医療(※)』をやってみてはどうかと薦められ、次第に針治療やマクロビオティックなどに興味を持ち始めました。

母はマクロビオティック食に至る前、まず地元の自然食材を取り入れることから始めました。スーパーから食料を買うのではなく、島で採れる食材(地元の野菜や魚、鶏肉など)を調達したのですね。というのも、島に長く住んでいる人には、健康な方が多く、100歳以上の人などもいるのを見て、母は「地中海の伝統料理は身体に良いのだろう」と感じたからだそうです。そうして私が当時4、5歳くらいの頃でしょうか、食卓に出されるのがフワフワのパンから、手作りの全粒粉の固いパンに変わりましたね。これは私の家族にとっても大きな変化でした。

―地中海付近の食事はヘルシーなイメージがありますが、実際にはどうですか?
確かに欧米の中で考えると、地中海式の食事はバランスが取れていると思います。米や麦などの穀物が採れる場所ですし、野菜、豆、魚もたくさん食します。昔は、動物性の食物はあまり食べずに、卵や豚肉を一年に少しだけ食べるくらいでした。精製された食品(白米、白砂糖など)も少なかったです。また地中海式の料理は、北ヨーロッパのように動物性の油ではなく、オリーブオイルなどの「植物」の油を多用するので、この点もとてもヘルシーで良いですね。

食材も料理も違いますが、基本的な栄養バランスの割合は、日本の伝統的な食事と似ていると思います。とはいえ、日本などの先進諸国と同様、そういった伝統的な食事をする人が減ってきており、健康問題も増えているという側面もありますがね。

※代替医療……通常の医療行為の代わりに用いられる医療。民間医療や、漢方、針や指圧、整体などの東洋医療などが含まれる。

パトリシオ・ガルシア・デ・パレデス

◆家族でマクロビオティックを実践するまで◆

―パトリシオさんは、子供の頃からマクロビオティック料理にすんなりと馴染めましたか?
最初は母だけがマクロビオティック食でした。もちろん家族で食べる料理にも変化はありましたが、細かい部分まで家族に強いることはありませんでした。ですが彼女はマクロビオティック食で病気が完治し、健康になってから、「家族にもこの素晴らしい食事法を勧めたい」という強い思いが生まれ、家族全員でやっていこうと決めたそうです。

とはいえ、自分とは違い子供たちには健康問題があったわけではないので、「子供たちが楽しみながら食べられる料理」を作らなくてはならないと感じ、マクロビオティックの料理方法を久司先生に学びに行ったそうです。マクロビオティックは元々、日本の伝統的な食事をモデルとしているので、母はそこで味噌汁や豆腐料理、ひじき、きんぴらなど、いわば“未知”の料理を学んできて、家庭で作るようになりました。しかし最初からすぐに味付けなど上手く作れたわけではなかったので、母自身もすぐにはそれらの料理に馴染めなかったようです。そこで地元でとれる食材を利用して、地中海料理や日本料理をミックスしてみるなど、色々と工夫をし、1年くらいかけて母は家族全員の食事を変えていきました。

―「家族全員でマクロビオティックを実践すること」の難しさを語る実践者も多いですが、何かコツはありますか?
家族全員でいきなり完璧にマクロビオティックを実践するのはとても難しいことですので、私の家庭のように“段階的に”移行していくのが良いと思います。例えば最初は3分付きの玄米を使って、慣れてきたら2週間に1回は玄米にしてみる……など。あとは、料理のアイデアも大事ですね。子供や旦那さんの好きな食材を利用してみたり、自分なりにメニューの開発をしてみたりするのも良いと思いますよ。

―パトリシオさんご自身もお母様の料理に興味を持って、この世界に入られたのですか?
そうですね。私は7歳くらいの頃から、他の兄弟と違って、料理を作ることも食べることにも非常に興味を持っていたので、自然に楽しくこの世界に入ってきましたね。パスタやオリーブオイルなどばかりでなく、幼少期から他の家にはないような醤油や味噌、海藻といった食材がありましたから、料理を始めた頃から自然にあったこういった食材も、私にとっては珍しくないものでした。

―ユニークなバックボーンを持てる環境だったのですね。
はい、育った環境で言えば、私はマクロビオティックの料理と、母の出身であったラテンの食文化(とうもろこし、豆料理が中心)、日本の伝統的な食文化、この3つの基本的なバックボーンがあり、自然に料理に取り入れていると思います。あとは、アメリカに渡ってから学んだマクロビオティックの影響も受けています。アメリカのマクロビオティック料理は、スペインのものとは少し違っていました、アメリカは多民族国家で非常にグローバルな食文化を持っていて、ラテンアメリカや北ヨーロッパの料理などの影響も受けています。そうした新しい食文化をどんどん取り入れてくるうちに、私の料理もとてもインターナショナルになっていきました。色々な食文化から、ひらめきやアイデアをもらっていますね。

 

29 September 2011 ・ 02:53 PM JST

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